ミッション

知の環境基盤研究部門は,現在のネットワーク情報社会を支える「環境基盤(エレクトロニクス/ハードウェア)」を一層進化させるための研究開発をミッションとしています.一口にエレクトロニクス/ハードウェアと言ってもその対象は非常に広範囲なのですが,当部門ではその基幹コンポーネンツとなる「半導体デバイス」の研究を行っています.具体的には以下の3つの領域に属するデバイスを対象としています.

  1. ユビキタス・ネットワーク技術に関するデバイス
    • 携帯情報機器に搭載する低消費電力半導体メモリ(シリコン)
    • 無線通信網を支える高出力マイクロ波デバイス(シリコンカーバイドSiC,あるいはSiC上に作製された窒化ガリウムGaN on SiC,ダイヤモンド)
    • 電源の超小型化を可能にするパワーエレクトロニクスデバイス(SiC,ダイヤモンド)
  2. 情報の大容量・高密度記録を可能にするデバイス
    • 大容量の半導体メモリ(シリコン)
    • 次世代光ディスク(青色DVD)のさらに次の世代の光ディスクを可能にする高出力紫外発光デバイス(ダイヤモンド)
  3. 全く新しい情報処理を実現するデバイス
    • 量子コンピューティング素子(シリコン,ダイヤモンド、その他)

()内は,そのデバイスを作るための半導体材料を示しています.半導体から作られるデバイスの性能や信頼性は,大きくは,半導体結晶あるいは異種結晶間の接触面(界面と呼ばれる)の品質によって決まります.そこで当部門では,結晶や界面の強力な評価方法として定評のある電子スピン共鳴(EPR)法を用いて,上に挙げられているシリコンSi,シリコンカーバイドSiC,ダイヤモンドCの3つの半導体材料・デバイスについて,様々な研究機関から寄せられる技術課題を解決するための研究活動を展開しています.シリコンでは日本電気株式会社や慶応大学などと,シリコンカーバイドでは独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)や日本原子力開発機構,スェーデンのLinkoping大学,ハンガリーのBudapest工科大学などと,ダイヤモンドでは産総研ダイヤモンド研究センターや独立行政法人物質・材料研究機構などと連携を行っています.
加えて,当部門では,半導体研究に必要な結晶欠陥の研究データをインターネット技術を使って収集,整理して情報発信を行うというコミュニティ活動も進めています.

研究の紹介